NPO法人国際ボランティア学生協会公式ウェブサイト

会員の方はこちらから

>ID/パスワードを忘れた方はこちらから



第19回世界湖沼会議に参加しました

 2023年11月7日から9日にかけて、ハンガリーのバラトンフュレドで開催された「第19回世界湖沼会議」に学生3名、OB1名で参加しました。

 世界湖沼会議は、1984年に琵琶湖がある滋賀県の呼びかけで始まった国際会議で、世界各国の研究者や市民団体などが参加します。湖沼流域の持続可能な管理に関する意見や経験談を交換し解決策を議論する場です。

 1日目である11月7日(火)には開会式が行われ、バラトンフュレド市長からの挨拶があり、ダンス・オーケストラなどで迎えられ、華やかに開幕しました。
 また、日本からはILEC(公益財団法人国際湖沼環境委員会)の竹本和彦理事長、滋賀県の江島宏治副知事から挨拶のスピーチがありました。

 午前中には展示ブースも周り、「バラトン湖を巡るすごろく遊び」を体験させていただきました。すごろくで遊びながら、バラトン湖に生きる生き物ついて知ることができました。

 2日目の11月8日(水)には、午前のYouth sessionと、午後の分科会での口頭発表をしました。

 Youth sessionでは、日本、ウガンダ、ケニア、アメリカ、ハンガリーの5カ国から学生たちが集まり、若い力で湖沼に対して何ができるかを議論し、様々な視点からの意見が交わされました。各国の湖や活動の紹介が行われた後に、それぞれの活動における課題に対する解決策を募りました。

 どの国も湖沼の富栄養化、プラスティックごみ問題等があるが、関心のあるグループのみが主に取り組んでいる事が共通問題としてありました。その中でウガンダの学生からはビクトリア湖には港が沢山あり、地理や生態系、下水処理について学ぶ機会があることや、私たちIVUSAからは大学生による子どもの環境体験の機会を提供しているなど、各国での事例を共有しながら、環境問題に取り組む仲間を増やすことなどについて議論しました。

 また、オンライン上でのチャットや、会場の皆さんの意見を書いた付箋で参加者の皆さんの意見や反応を見られたため、会場の一体感を感じることができました。

 分科会では「びわ湖の研究者になろうツアー」について口頭発表をしました。琵琶湖が水資源や固有種、森林などに恵まれていることや、それらが昔と今とでは形が変わりつつあることの紹介をしました。それらを踏まえIVUSAの「びわ湖の研究者になろうツアー」の子どもたちに実験やフィールドワークなどの体験学習機会を提供し、探求心を持って環境について考察し、考えを発表するという一連の流れを、実際に行ったイベントを基に紹介しました。

 私たちの口頭発表に対して、この会議に参加するきっかけとなった2022年度に開催された「湖沼のエコツーリズムコンテスト」の審査員長である平安女学院大学の山本芳華先生から、琵琶湖の文化、水質、生態系など分野を広げ、パワーアップしてイベント開催に取り組んでいること等についてお褒めの言葉をいただきました。

 またポスターセッションも行われ多くの方にお越しいただき、外来水草オオバナミズキンバイの除去活動や「びわ湖の研究者になろうツアー」について知っていただく機会となりました。

 3日目の11月9日(木)には、朝から午後にかけて船に乗り、バラトン湖を周遊しながら、バラトン湖の環境について学ぶStudy Tourに参加しました。

 このツアーではバラトン湖を周遊しながら、バラトン湖の歴史、富栄養化の問題、気候変動の影響に関する発表を聞き、バラトン湖に関する知識を深めました。
 そして2箇所の港で陸に上がり、バラトン湖と川を隔てる洗堰や、水質や生態系をモニタリングする研究施設を見学しました。話を聞くだけでなく、沖合の水質測定設備や研究施設を実際に見て回ることで、話の内容を体験的に理解することができ、とても貴重な経験になりました。

 また、昼食は船の中で振る舞われ、会議参加者の皆様とも交流しながら食事を楽しむことができました。

 そして、3日間のプログラムが終了し、閉会式が午後から執り行われ、世界湖沼デーの実現に向けての発信などがあり、第19回世界湖沼会議は閉幕しました。

 今回、第19回世界湖沼会議を通して、今後の人生の中で忘れないような大変貴重な経験をすることができました。日頃の活動の成果を海外の皆さんに対して発表することで、自分自身も自らの活動を立ち返る機会になると同時に、海外の湖沼で行っている観光の取り組みや、環境問題について知ることで自分自身の知識と視野が広がり、今後の活動に対して良い刺激になりました。

 また、Youth sessionに関しては、半年ほど前から各国の学生とオンラインで会議を重ね、各国の湖沼に対する提言の作成やリハーサルを行ったからこそ本番のセッションを成功させることができました。そして、国ごとに湖沼に感じる課題が異なることを知り、想像力が刺激されるとても貴重な経験になりました。国際的な会議に参加できたことは大変喜ばしく、国際的な目線で湖沼に対して考えたことで自己成長できました。

 しかし、意見を主張することや会話をする上で言語の壁を感じ、もどかしさを覚えました。そのため、コミュニケーションのツールとしての言語の重要さを再確認し、今後の言語学習のモチベーションに繋がりました。
 どちらの活動も、持続可能性を維持するために、次世代に引き継ぎ、継続させることが大切であると考えております。

 最後に、このような貴重な機会を与えてくださった公益財団法人国際湖沼環境委員会(ILEC)、滋賀県庁、MLGs関係者の皆様、そしてYouth sessionの企画運営として伴に尽力した仲間である立命館大学の窪園さん、畠さんに深く御礼申し上げます。(京都外国語大学4年 田邊 有香)

 発表資料はココからダウンロードできます。