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岡山県日生諸島活性化活動

 3月17日から20日まで、岡山県備前市日生諸島にて、学生33名、事務局2名で活動を実施しました。活動にあたって事前に隊員全員のPCR検査陰性を確認しています。
 この活動は、「世界の里海の頂点 日生」(井上恭介著「里海資本論」より)と紹介される日生諸島の魅力的な里海を守り、未来につなげるために、住民の方々と協力して、持続可能な地域づくりに貢献することを目的に活動します。

 今回は、海岸清掃、マイクロプラスチック対策のための竹材『マメ』の制作などを通して、里海とその里海を取り巻く環境や資源について考え、今後の活動のヒントを得る機会となりました。

 日生到着後にはフィールドワークを行い、名物のカキを使ったお好み焼き(通称カキオコ)やカキフライソフトを食べたり、日生の里海を感じる場所を訪れたりしました。

 活動2日目と4日目には大多府島の海岸清掃を行いました。海岸にはペットボトルやカン、ビン、流木に絡みついた漁網などが見られました。そのほかにも、カキの養殖をしている日生諸島ならではの通称マメと呼ばれる小さく切ったパイプがたくさん落ちていました。
 このマメは、カキの幼生が付着したホタテの貝殻をイカダにつるす際、一定の間隔を空けるために挟む養殖用のパイプです。このマメを放置すれば、マイクロプラスチックが引き起こす海の生態系を破壊する原因となるため、一人ひとりが注意深く取り除くように活動を行いました。
 2日間を通して拾い上げたゴミの総重量は300kgとなりました。

 3日目は、前日に拾ったマメの代替品として竹材を使用することで、マイクロプラスチック発生抑止策とすることが出来ないかを実験するために、竹材マメの制作を行いました。この春から来年の収穫が終わるまで代用可能かテストを行います。

 また、2018年からオリーブの圃場の整備、植樹活動を実施しており、先輩たちが植樹したオリーブが大きく成長していました。この成長したオリーブのメンテナンスのために、肥料用にカキ殻を砕く作業や枝打ちしたオリーブの枝を利用したお箸づくりを行いました。先輩が行ってきた活動を引き継いでいることを実感しながら作業しました。
 地域おこし協力隊の土田さんが「山がきれいにならないと海もきれいにならない」と仰っており、里海だけでなく、里山にも意識を向ける必要性があると感じました。

 午後は底引き網漁師の川崎球志さんにチヌ(クロダイ)についての勉強会を行いました。関東では高級魚として扱われるチヌですが、日生では、食べる習慣がそもそも無いことやチヌが雑食のため臭いがある等の理由であまり好まれていません。
 さらに、網にかかるチヌの量は、ここ数年で倍以上に増えていること、カキの稚貝を食べる被害があり困っているとのお話を伺いました。そこでこの問題の解決策を考えるため、チヌがどんな味なのかを試食したところ、「美味しい」の声が多く聞かれました。今後、日生諸島でチヌをどのように活かすかを漁師の皆さんと一緒に考えていきます。

 その後、海についての研究や様々な体験ができる「ひなせうみラボ」にも伺いました。施設の説明をしていただいた備前観光協会の船橋美可さんは「自分の目で見て手で触ることで、海を守ることの意味を子どもたちに伝えていきたい」と仰っていました。この話が、里海を守ることをより自分事として捉えるきっかけにもなりました。

 また、活動外で訪れたカキ処理場では、カキ剥き歴40年の大道さんが、「今年もIVUSAが来ていることは知っている。遠くからありがとう」と、言ってくださいました。

 夕食ではいただいた牡蠣を隊員全員で食べ、隊員一人ひとりがその味を噛みしめていました。3日目の活動は一日を通して、IVUSAの活動や地域の人々とのつながりを感じさせるものとなりました。

 備前市役所農政水産課の橋本誠二さんから、「次の隊には、住民とのネットワークをさらに築き上げていってほしい」という期待の言葉を頂き、次の活動の課題も見つかりました。

 今後も「住民参加型の里海のテーマパークを作る」を掲げ、里海と共に生きる日生諸島の活性化に向けて活動を行なっていきます。
 最後に、今回の活動の実施に向け、ご協力いただきました皆様に心より御礼申し上げます。(同志社大学2年 明浄 尊翔、龍谷大学2年 田中 麻穂、長崎県立大学2年 西田 早希)