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宮城県山元町東日本大震災復興支援活動

 3月10日から13日に、現地派遣隊として学生15名と事務局1名、オンライン参加として学生53名で、東日本大震災復興支援活動を実施しました。

 2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、2012年4月から条例で第一種災害危険区域に指定されている宮城県亘理郡山元町を中心に活動しました。今回の活動では、実際に現地を訪れる現地派遣隊とオンラインで参加する隊員に分かれて進めました。
 今回の活動の目的は、「東日本大震災からの復興支援活動で、多くの出会いと教訓を得た宮城県山元町を拠点に、地域住民が主体となり取り組むコミュニティビジネス等、復興に向けたモデル作りに貢献すること」「若者が、復興・防災・命を守ることといった様々な問題を自分ごととして学び、向き合うことで、未来を生き抜く力を身につけていくこと」の2つであり、現地の方々からのお話をお聞きし、追悼式や点灯式に参加しました。

 活動1日目、宮城県亘理郡山元町にある普門寺に到着後、普門寺の横に位置する骨塚(ご遺骨を供養した砂山)に黙祷を捧げました。

 その後、みんなの図書館で点灯式の準備や、絵灯籠のサイズに紙を切り、絵を描いて竹にまきつける絵燈籠作成を行いました。地元の人をはじめ、宮城県外の人の絵灯籠もあり、この山元町に対して色々な想いが集まっていると感じました。現地の方は「津波で亡くなった方が数名でも空から見に来てくれたらいいな」と仰っていました。翌日に向け、少しでも多くの光が届くように気持ちを込めて1日目を終えました。

 活動2日目、午前に震災遺構である中浜小学校に現地派遣隊員計8人が訪れました。そこでは、震災の状況や当時の校長と先生方のお話を映像で見たり、ガイドの方の解説を聞いたりしながら小学校の中を巡りました。津波で曲がってしまった窓や、物が散乱している教室、倒れている時計台など震災当時の姿を実際に見ることもできました。また、中浜小学校で見たことや聞いたことを通して、災害が起こった際に、どんな行動を取るか考えたり、しっかり備えをしたりする事は今から取り組めることでもあり、大切な防災だと学びました。

 小学校を訪れた隊員以外は、点灯式の準備を行いました。地域の方と会話を楽しみながら絵灯籠の設置をしたり、折り紙で作った椿の花を木につけたりしました。オンラインで参加した隊員の活動は、現地派遣隊が作成した山元町を紹介するビデオを見ることから始まりました。
 山元町を訪れたことのある学生が少ないため、山元町の知識はあってもどんな場所なのかイメージが掴めない学生が多い中、山元町の様子を映像を通して感じることができました。また、山元町にある普門寺の住職である坂野住職にお話を聞かせて頂きました。「3月11日は、私たちは前に進んでいますという報告の日」という言葉がとても心に響きました。

 その後、追悼式では、私たちIVUSAの学生も参列させていただき、オンラインで参加している隊員も配信にて式に参列しました。東日本大震災が起こった14時46分、それぞれの場所からそれぞれが想いを持って手を合わせ、黙祷を捧げました。追悼式の後、オンラインの活動では班ミーティングを行いました。これまでの活動で感じたことや思いを共有し合いました。また、3日目に行ったインタビューで地域の方々にお聞きしたい質問を考えました。

 夕方から、派遣隊は点灯式に参加しました。東日本大震災で亡くなられた方へ哀悼の意を込め、絵灯籠に灯りを灯しました。IVUSA隊員が作成した絵灯籠も飾っていただきました。夜には、震災を歌という形で伝えていく活動をしているシンガーソングライターの森加奈恵さんの歌を聴きました。多くの震災の当事者の方が、空から絵灯籠を見ていてくれているような気持ちになりました。点灯式は、3月11日を私たちながら一人ひとりが考えるきっかけとなりました。

 活動3日目の午前、現地ではみんなの図書館で灯籠の仕分けや絵を外す作業など、点灯式の片付けを現地の方と一緒に行いました。絵を外す時、一枚一枚広げて見てみると、描いた人の気持ちが伝わってきました。休憩時間には、沢山の感謝のお言葉を頂き、現地の方々の暖かさを感じることができました。

 午後は、現地とオンライン参加者をzoomで繋ぎ、インタビューを中心としたオンライン企画を行いました。「活動に行けなかった隊員が山元町に行きたいとより多くの人が思ってもらうこと」「現地の方々のお話を聞いたり、その様子を見てもらうことで、リアルな山元町を知ってもらうこと」を目的の元、企画しました。質問は事前に隊員から募集しており、震災当時の状況や山元町の現状、今後IVUSAとやりたいことなど、様々な質問をさせていただきました。

 ある地域の方は「自分の命だけは大切にして生きてください」という言葉をかけてくださりました。実際に震災を経験されたからこそ言葉の重みがあり、東日本大震災が地域の方に残した傷を目の当たりにしました。この企画の最後には、森加奈恵さんが、私たちIVUSAとのかかわりを通して作曲された歌を歌って下さりました。森さんの優しい歌声と山元町の方々の「前を向いて進んでいこう」という思いに触れ、実際に山元町を訪れたいと強く感じました。

 最後に、今回の活動を通して感じたことや学んだことについて共有するミーティングを行いました。多くの学生が、「自分の目で山元町を見て、実際に現地の方々のお話を聞きたい」という想いを持っていました。東日本大震災の記憶や悲しみは、時間が解決するものではないことを知り、私たち学生が東日本大震災について考え続け、震災の記憶を風化させないことはとても大切なことであると感じました。
 また、ある学生は、「復興もまだまだ進んでいないけれど、子どもたちがいないと地域の方々がおっしゃったことを踏まえると『地域活性化』の視点も取り入れながらこれからの活動を行っていくことが必要だと思う」と言っていました。東日本大震災復興支援活動の未来を見据え、これからのIVUSAにできることや山元町の復興について、新たな視点を持って活動を行う必要があると感じる企画となりました。

 活動4日目、活動でお世話になった各場所を感謝の気持ちを持って丁寧に清掃しました。清掃後、解団式を行いました。
 解団式では、少人数に分かれ、活動の感想共有をし、OBOGや現地の方々からもお言葉をいただきました。本活動のリーダーである臼井美貴(東海大学4年)は「100人以上の隊員を連れてきて活動できなかったのは悔しい。しかし、派遣隊を9月から続けてこられて、春の活動でたくさんのIVUSA会員がエントリーしてくれたのが嬉しかった。少人数になっても、3月11日にIVUSAとして来られてよかった」と話していました。

 帰る前には、普門寺の横に位置する骨塚(ご遺骨を供養した砂山)に黙祷を捧げました。初日に黙祷を捧げた時より、3月11日や山元町への想いを込めて黙祷をしていると感じました。
 
 今回の活動を通して、3月11日に震災について現地の人の声を聞いて考えることで、改めて自然災害の怖さを感じました。同じ思いをして欲しくないという現地の人の思いを、私たちは防災を自分ごととして考え、それを生かしていきたいと強く感じました。更に、現地の方々が、より多くのIVUSA学生が現地に来てくれることを望んでいました。その期待に応え、これからも学生の力で地域の復興を考え、取り組んでいきたいです。

 この期間は感染症対策を徹底しながら活動しました。今回も多くの方々の協力のおかげで、活動を終えることができました。ありがとうございました。