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>ID/パスワードを忘れた方はこちらから 2011年2月8日(火)から2月14日(月)までの7日間、沖縄県糸満市を中心に戦没者遺骨収集活動を行い、全日程で合計60柱の戦没者の御遺骨を迎えました。
第二次大戦で激戦地とされた沖縄県には、眠り続けている戦没者の御遺骨が数多く存在します。この状況に対し、IVUSA会員学生56名と事務局3名。そして日本青年遺骨収集団(JYMA)、日本遺族会の皆様にご協力をいただいて「少しでも多くの戦没者をお迎えしたい」という気持ちを共有し活動を行いました。
作業は「壕」と呼ばれる硬い岩盤を削りくり抜いた穴の中や山の急斜面で行われ、ひたすら壕の中の土をかき出して掘り起こすこと続けました。
壕の中の土をかき出しているところ。
そして数ある壕の中には昔の人のお墓を掘り起こして使っていたものもあり、戦時中の状況がいかに凄惨であったかを感じられます。そうした事実を知り、言葉を失くす参加者もいましたが、全体としては「一人でも多くの御遺骨をお迎えしたい」「みんなでこの活動を成功させたい」という気持ちになっていました。
薄暗い壕の中での活動風景。
また、今回のプロジェクトでは沖縄における戦争の歴史的背景を理解するため、遺骨収集活動のほかにも、平和祈念公園やアメリカ空軍嘉手納基地の視察、現代版組踊「肝高の阿麻和利」* の観賞、戦争経験者の方の講演なども聞かせていただきました。
*沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れて、勝連城10代目城主「阿麻和利」の半生を描く、いわば「沖縄版ミュージカル」。(公式ホームページより)
資料館で不発弾を見ているところ。
終戦から65年が経った今なお、壕の中で眠られている戦没者および山の斜面に散らばった御遺骨。活動を行っていて実際に戦没者の御遺骨を迎えた時、何とも言えない感情が湧きました。今日の平和な日本という国に生きる私たち一人ひとりは過去の犠牲の上に成り立っていると心で理解し、現代を生きる私たちは、平和の尊さや戦没者への感謝の気持ちを持ち続けなければならないと感じました。
戦争は終結しましたが、虐待や殺人などの事件は途絶えていません。活動を通して人が殺し合う悲劇の現実を知ったならば、現代に生きる私たちは命について考えることを伝えていくことが必要なのではないでしょうか。(神奈川大学2年 小笠原 大貴)
【プロジェクト・リーダーより】
戦没者遺骨収集という普段できない体験を通じて、より戦争や現代の社会情勢に対して興味を持つようになりました。御遺骨を土の深いところからお迎えした時は、好奇心や恐れや感謝などさまざまな感情が入り乱れていたのを今でも明確に覚えています。全日程の作業を通じて計60柱をお迎えすることができましたが、まだまだ現地には多くの戦没者の御遺骨が眠っているそうです。
現地の方も終りが見えないとおっしゃっていましたが、この活動は戦争を肌で感じられる貴重な場でもあり、継続していくべき日本の社会問題の一つでもあると僕は思います。
沖縄は、地上戦が繰り広げられたという歴史と戦争のない社会に向けてメッセージを送り続ける場所でもある一方で、観光地として楽園のイメージをもつ場所でもあります。複雑な性格の沖縄という場所での活動で学んだことを教訓として、戦争に対する理解をこれからもより深めていきたいと思うようになりました。
戦没者の犠牲のもとに今の日本があると言うことを忘れないよう、この活動の経験をもっと多くの人に伝えていきたいと思います。(日本大学4年 井上 正国)