NPO法人国際ボランティア学生協会公式ウェブサイト

会員の方はこちらから

>ID/パスワードを忘れた方はこちらから



第3次カンボジア小学校建設活動

~彼らの幸せのために、それぞれの幸せのために~

 カンボジア王国は1953年にフランスから独立したものの、内戦の影響によりポル・ポト政権時には、教育施設の破壊や教師の虐殺を含み、多くの社会基盤が破壊されました。その後、教育機関の再建が始まったものの、急激な人口増加も影響し、未だ校舎や教員の数が足りていない状況にあります。
 小学校の校舎は700校舎足りていないと言われており(2008年カンボジア王国教育省発表)、2、3部制で生徒を受け入れる学校も数多くあるのが現状です。
 教育を受けられないため、字が読めずに薬の効能や地雷原の標識が理解できなかったり、思うような職に就けなかったり、なによりこの国を担う人材が育ちません。
 1992年に国連による統治が開始されて以来、急速な発展を遂げているカンボジアにとって、今、教育はとても重要です。


タイル貼りの作業は非常に難しかったです。

 IVUSAでは、カンボジアが抱える教育課題を改善するために、学校の校舎数を増やすことを主な目的として、2006年から児童教育の支援活動を実施しています。
 今回支援を行ったのは、メコン河沿岸に位置するコンポンチャム州トンレーバット地区トンレーバット小学校。現在利用している校舎は1964年に作られた鉄筋コンクリート製で、雨漏り、壁のひび割れ・変色などの老朽化が進み、学校関係者が自分たちで補修工事を行っている状況であり、生徒数約1,000名に対して5校舎と、教室不足が深刻な状態です。

 このような状況に対し、コンポンチャム州教育・青年・スポーツ省より小学校建設の依頼があったことと、IVUSA学生のカンボジア教育支援に対する気持ちが重なり、本事業の実施に至りました。
 IVUSA学生による募金活動で建設資金を集め、5教室1校舎を建設。2010年8月17日から29日までの13日間現地でIVUSA53名が日本語を学ぶカンボジア人学生10名と共に建設活動に携わりました。


子どもたちも一緒になって清掃してくれました。

 現地での作業は、花壇作り・教室内の清掃・塗装作業・タイル貼り。それらの作業に加え、参加者の中から出たアイデアである遊具作りやごみ箱づくりを行いました。
 またカンボジアでは、大人も子どもも歯磨きをする習慣やゴミを捨てる、掃除をするといった習慣が根付いていません。そこでそんな衛生面を考慮し、作業の合間の休憩時間を利用して子どもたちに歯磨きの習慣を知ってもらう活動や、清掃作業を子どもたちと一緒に行うことでごみ拾いや清掃、歯磨きの仕方を覚えてもらうことができました。


カンボジアの子どもたちが絵を描いている様子です。

 30℃を超える暑い中での作業の上に、スコールが降ったりやんだりという悪天候の日もありましたが、毎日小学校に足を運び一緒に作業を手伝ってくれる子どもたちの笑顔や声援に元気をもらい、この子たちのためにも必ず小学校を完成させて彼らにプレゼントしたいという想いが強くなりました。

 当初の作業予定は8日間でしたが、最後まで作業を終えることができず、夜間での作業そして他の予定を削り作業日数を1日増やし最終的に作業を全て終えることができました。

 今回、全力で活動した結果は以下の通りです。

 セメント塗り1教室・ペンキ塗り4教室・教室清掃13教室・タイル貼り3教室(1,019枚 約127.2㎡)・ゴミ箱製作5つ・花壇作り5つ・花壇整備8箇所・タイヤ跳び箱作り1箇所5つ・その他ガレキ、ゴミ拾い。


子どもたちの笑顔からたくさんの元気をもらいました。

 今回の活動で、これまで3部制だった小学校が2部制となり、子どもたちの勉強時間が増えることになり村の教育環境改善に大きな役割を果たします。

 また一緒に作業してくれた村の子どもたちや、見守ってくださった先生方に感謝の気持ちを込めて学生の力でもっと何かしたいという思いから、「絆祭」と名付けた運動会を開催しました。
 カンボジアでは運動会という概念は存在しません。そのため大勢の子どもたちを並ばせたり、子どもたちを自分たちの番まで待たせたりすることに一苦労でしたが、徒競争や障害物競争、ボール渡しを行い、中でも学生による組体操や日本人とカンボジア人の対抗リレーはとても盛り上がりました。
 学生も子どもたちもみんなが楽しそうで、学生がよさこいソーランを披露し、最後は「幸せなら手をたたこう」をみんなで歌い運動会は幕を閉じました。


運動会当日は約300人という多くの子どもたちが集まりました。

 そして今回、カンボジアへ行くにあたり、日本の子どもとカンボジアの子どもの交流を橋渡ししました。IVUSAが地域活性化活動を行っている新潟県関川村の小学校、新潟県長岡市の児童養護施設で暮す子どもと、今回私たちが建設を行った小学校に通うカンボジアの子どもが絵の交換をするなどして交流を図るという企画です。
 今回の活動では、児童養護施設で暮す子どもが描いた絵を私たちが預かり、カンボジアの子どもたちに贈呈してきました。関川村の小学校から預かった絵は、次にカンボジアに行く際に届けます。
 また、カンボジアの子どもたちから預かった絵を、児童養護施設の子どもたちには11月に実施するこの子どもたちとの交流会の際に、関川村の小学校には2月に実施する活動の際に贈呈する予定です。
 この交流をきっかに日本の子どもはカンボジアに興味を持ち、カンボジアの子どもは日本に興味をもってくれることを願っています。


日本人学生とカンボジア人学生。

 今回の活動は現地のカンボジア人学生と共同で行いましたが、作業や行動を共にすることで言葉の壁があるにもかかわらず、学生同士の交流が実現し、良き仲間となりました。
 また現地では滞在中、村でのホームステイをさせていただきました。ホームステイ先では、あたたかく迎えていただき、カンボジアの生活を実際に感じることや、村の方々とのコミュニケーションをとることができて私たち学生にとって貴重な経験となりました。


無事小学校を完成させることができました!

 最後は無事にトンレーバット小学校の落成式を迎え、子ども達の夢がまたここから始まることを願い、今回の活動の記念に小学校の教室に「絆」という字を書き、そのまわりに参加者全員の名前を書きました。
 今回の私たちのこの活動が少しでも子どもたちやカンボジアの未来に貢献できていれば嬉しいです。

 アジア教育支援募金活動に協力してくださった皆様、そして今回の活動へのご協力本当にありがとうございました。
 9月24日・25日には虎ノ門の日本財団ビルにて、今回のカンボジア小学校建設活動の写真展・報告会、そして貧困や途上国の教育や国際協力のあり方について学ぶワークショップを行います。
ぜひお越しください、お待ちしております。
 詳しくはコチラをご覧ください。