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第4次カンボジア学校建設活動

記憶に残る活動を

 カンボジア王国はポル・ポト政権(1975年~1979年)時に、教育施設の破壊や教師の虐殺を含み、多くの社会基盤が破壊されました。その後、教育機関の再建が始まったものの、未だ校舎や教員の数が足りていない状況にあります(2008年カンボジア王国教育省発表では小学校700校舎が不足)。教育を受けられないため、思うような職に就けず、なによりこの国を担う人材も育ちません。

 IVUSAでは、このようなカンボジアが抱える教育課題を改善するために、学校の校舎数を増やすことを主な目的として、2006年から児童教育の支援活動を実施し、今までに3地域で3校舎(850名収容)の建設を行ってきました。
 今回の活動で大きな軸となったのは、初の中学校の建設です。カンボジア王国では中学校までを義務教育としていますが、資金不足によりできていないことや児童労働の問題などで未だ中学校への就学率は34%と低い状態にあります。今回支援を行った、シアヌークビル州プリセイハヌウ町チョムカーカウスウ小学校のある地域にも中学校は無く、小学校を卒業した後の就学率はかなり低い状況です。
 このような状況に対し、コンポンチャム州教育・青年・スポーツ省より中学校建設の依頼があったことと、IVUSA学生のカンボジア教育支援に対する気持ちが重なり、募金活動で建設資金を集め、2月20日から3月1日までの11日間、IVUSAから61名と日本語を学ぶカンボジア大学生10名と共に現地で建設活動に携わりました。
■現地での様子
 多くの子どもたち、先生方に出迎えていただき、現地での活動はスタートしました。
 初日の作業前には、カンボジアのリアルな教育について、現地の教師や生徒たちの親御さんに対する質問会を開催していただき、学生は多くのことを知ることができて、作業にも一層の気合いが入りました。
 実際の作業は、ペンキ塗りや壁造り、花壇造りの作業などといった慣れないことながらも、子どもたちや教えて下さる職人さんのために全力を尽くしました。たくさんの子どもたちに見守られながら、大変でしたが、楽しく作業することができました。

・学生のアイディアを実現する夢企画
 今回の現地での活動では、子どもたちの夢や未来を応援したいという気持ちから、建設作業以外にも私たちにできることはないかと考え、子どもたちにラジオ体操を教えること、職業の紹介の2つの企画を行いました。
 ラジオ体操はほぼ毎日行い、子どもたちは日に日に動きを覚えていったようでした。私たちがいなくなった今も続けていてくれることを願います。

 職業の紹介は、クイズ形式にするなど工夫をし、楽しみながら行うことができました。最後になりたい職業を絵に描いてもらうつもりでしたが、まだ難しかったようでした。それでも子どもたちはクレヨンでのお絵かきを楽しんでいました。

・ホームステイ
 村の方にご協力いただき、ご家庭にホームステイさせていただきました。
 実際の生活を体験することができたり、ご家族とお話する機会があったりととても貴重な経験となりました。
・交流会
 最終日には交流会として、運動会を実施しました。時間帯の都合などで、想定よりも参加人数は少ないものとなりましたが、約100名の子どもたちと学生が一緒になってとても楽しい時間を過ごすことができました。種目は玉ころがし、かけっこ、綱引き、大縄、障害物リレー、また今まで続けてきたラジオ体操を行いました。閉会式の最後には、私たちの活動のテーマソングである「福笑い」を皆で円になって歌い、運動会の幕を閉じました。
 学校の完成に際しての落成式は、内務大臣をはじめ多くの人々が出席し、盛大に行われました。そこでフン・セン首相から、今回の活動とこれまでの活動、募金活動への感謝のお言葉と賞状をいただきました。
 また、チョムカーカウスウ小学校の校長先生からは、「ここには大学を出ている人がおらず、日本で立派に大学生をやっているIVUSA学生との触れ合いが、子どもたちにとって良い見本となり、良い影響となった。きちんと勉強すればこのように人の役に立てる人にもなれると伝えた。また皆さんがきちんと活動している様子に感動し、私も楽しかった。ありがとう」という嬉しいお言葉をいただきました
 自分たちの現地での活動がその土地の教育状況改善にどれほどの意味を持っているのかを具体的に知ることができました。(同志社大学2年 藤澤 智恵子)

■今回の活動成果
・建設作業:
教室内外の左官作業 、教壇造り、ペンキ塗り、床ならし、床左官 (5教室1校舎)、花壇整備 (4つ) 手すり造り (3箇所に設置)により、中学校1校舎完成。
・夢企画:体操習慣のない子どもたちへラジオ体操の普及、職業の紹介による好奇心の促進
・運動会の実施 
【プロジェクトリーダーより】
 活動を共にした現地の学生や子どもたちは、最後の別れの時に泣いてくれていました。それほどまでに私たちを好きになってくれたのかと思うと、嬉しくてたまりません。現地の学生とは今でもFacebookやスカイプを利用して連絡を取り合っています。チョムカーカウスウ小学校で過ごした日々は子どもたちの、そして私たち自身の記憶に残るものとなりました。

 今回の私たちのこの活動が少しでも子どもたちやカンボジアの未来に貢献できていれば嬉しいです。
 募金活動に協力してくださった皆様、そして今回の活動へのご協力本当にありがとうございました。(明治大学4年 中 圭史)

主催:特定非営利活動法人国際ボランティア学生協会(IVUSA)
協力:KHJ Construction Co.,ltd、街頭募金活動協力者 27,000人、募金箱設置店舗
協賛:北星鉛筆株式会社、株式会社フェリシモ、BICジャパン株式会社(順不同)