カンボジア王国はポル・ポト政権(1975年-1979年)時に、教育施設の破壊や教師の虐殺を含み、多くの社会基盤が破壊されました。その後、教育機関の再建が始まったものの、未だ校舎や教員の数が足りていない状況にあります。
小学校の校舎は700校舎足りていないと言われており(2008年カンボジア王国教育省発表)、2、3部制で生徒を受け入れる学校も数多く、教育を受けられないため、結果的に思うような職に就けない人が多く、この国を担う人材も育ちません。現在、急速な発展を遂げているカンボジアにとって、教育は非常に重要な課題となっています。
プノンペン市内から約2時間のコンポンチャム州、トボーンクモム市、ジロー郡、ロカートム村、ロカートム小学校では、近年通う子どもが急激に増えている一方で、建物の危険性も懸念されています。もともと校舎が古く、この学校では、雨季になると川が氾濫し、校舎の半分程(約2メートル)まで浸水してしまいます。そして、教室のいすや机、壁に貼ってある教材が水によって壊されてしまいます。
この水の高さでは、雨季には、本来安全であるべき学校で子どもたちは勉強することができません。このような状況に対し、コンポンチャム州教育・青年・スポーツ省からの中学校建設の依頼があり、今回の実施にいたりました。
8月17日から29日まで、日本から57人の学生がカンボジアを訪れ、日本語を学ぶカンボジアの大学生11人と一緒に小学校建設活動を行いました。主に、校舎の左官およびペンキ塗り、校庭のごみ拾いや根っこ抜きなどの作業を行いました。
また、第1回、第3回の学校建設活動で建てた小学校に行き、子どもたちとボール遊びや大縄跳び、折り紙で鶴を折るなどの交流をしました。
その他にも、文房具やボールなどの協賛品の贈呈を行いました。
作業が無事終了した次の日に落成式が行われました。
沢山の村の人が式に参加してくださり、シン・ブリン内務大臣にもお越しいただいて盛大な式となりました。 落成式ではカンボジアの踊りを見せていただいた代わりに、参加者の有志によるソーラン節を披露しました。
落成式の後、村の子どもたちと一緒に運動会をしました。大縄跳びで盛り上がっていた時に、あいにくの大雨に遭い、予定していた種目を全て行うことは出来ませんでしたが、出来たての新校舎に移動して、子どもたちに将来の夢を書いてもらう企画をしました。
子どもたちは一生懸命絵を描いて、私たちに見せてくれました。夢企画の後に贈呈式を行いました。テニスボール、サッカーボール、鉛筆やクレヨンなどを贈りました。
私たちが建てた学校で、子どもたちが夢の実現に向かって、元気に楽しく勉強したり、遊んでくれたりしたらうれしいです。
<活動の成果>
■小学校建設:
・街頭募金活動やチャリティイベント(OB・OG会)を実施(約400万円)
→カンボジア教育環境に対する問題意識の啓発と学校建設資金集めとして、街頭募金活動や報告会を実施
場所:東京都、神奈川県、京都府
期間:2010年10月~2012年8月
参加者:IVUSA会員延べ200名
・4教室1校舎の中学校を建設したことで、村の子どもたちが中学校に通うことが出来る様になった。
→小学校建設の手伝い:教室内外の左官作業 、教壇造り、ペンキ塗り、床ならし、床左官
■学びの意欲の向上
・交流会の実施
→ロカートム小学校に通う予定の250人が参加し、ミニ運動会を実施し、ルールを守るなどの社会的ルール、運動することの大切さ及び、運動する前の準備運動の大切さを伝えた。
【プロジェクトリーダーより】
今回、活動を通して学んだことは自分が普段、見えている世界は当たり前ではないということです。外国に渡航しているのだから、当たり前のことかもしれません。
しかし、夜の10時まで毎日のように子どもが市場で働いている姿、学校の近くに住んでいるのに学校が安全ではないため学校には行けない子どもたちがいる。教材がないため自分の手作りで教材を揃え、授業を行っているなど。これらは日本では考えられません。
これらの現状に対し、本当に学生である私たちには小さなことしかできません。募金を通して街の通り過ぎる人々に呼びかけたり、実際にカンボジアへいって協力してくださったかたの想いを伝えたり、作業のお手伝いでしかできませんでした。
だからこそ、まずは今回の活動に協力してくださった方々、環境を提供してくださった方々に感謝の気持ちでいっぱいです。そして少しでも、日本や世界がよくなるためにアクションを起こしていかなければならないと思いました。
これからカンボジアという国に対してどのようなアクションができるのか、今回で課題となったことを次の行動としてつなげられるか。そういったことを今回一緒に行ったメンバーだけでなく様々な人たちと考えていきたいです。(玉川大学3年 梨岡 和)